ヒロセガワプレーパーク『遊び場』レポート

HIROSEGAWA PLAYPARK ー EVENT REPORT

December 14th Tue. / Hirosegawa river and Nishi-koen park

穏やかに晴れた師走の火曜日、「ヒロセガワプレーパーク」が開かれました。サポートしてくれたのは、近くの西公園で2004年から継続的に子どもの遊び場を開く「西公園プレーパークの会」。子どもの遊び場を川で開くと、さてどうなった!?


 

笹舟に虫探し、“ひっつき虫”のツリー!?

河川敷から水のそばへ傾斜のあるデコボコ道を、子どもたちが探検気分で下りていきます。遊びを見守る役割のプレーリーダー・佐々木啓子さんがしゃがんで水を覗き込むと、子どもたちも真似っこ。それからキラキラ光る川面に笹舟を流したり石を投げたり、そーっと水面に指をつけてみたり。

『あっ、赤トンボだ!』『ほんとだ、もう冬なのに』

誰かのそんな発見から、今度は虫探しが始まりました。

川に葉っぱを流すだけでワクワクが生まれる

「ヒロセガワプレーパーク」は広瀬川の大橋のたもとに、「西公園プレーパークの会」が出張して開かれました。この日のスタッフは3人。『その場にあるもので遊ぶことを大切にしています』と話す通り、持ち込んだ荷物は多くありません。工作の材料として西公園で拾った松ぼっくりやツタ、赤い実、ヒイラギの葉っぱ。プレーパーク名物・一斗缶焚き火の道具。

あれ、クリスマスツリーのラインが描かれた大きな布はなに?

『河川敷に生えているオナモミの実をくっつけて、ツリーっぽくできるかなと思って』と佐々木さん。オナモミは“ひっつき虫”として知られるトゲが無数に生えた実のこと。なんて愉快なアイデア!

 

プレーパークならではの空気感

 

遊びに来ていたのは1~6歳くらいの親子が十数組。河川敷で焚き火が始まると子どもたちは燃えさかる火に興味津々で、工作コーナーではお母さんたちがリース作りに夢中。川原では、初めのうち大人にくっついて離れなかった子どもたちが、徐々に大胆に遊び始めました。スニーカーのまま浅瀬にジャブジャブ入って、水の冷たさにびっくりした子も。スタッフが遊びを教えるわけではないのに、時間が経つにつれて遊び方のバリエーションが広がります。

でも、よく見るとスタッフは、常に子どもたちの様子に気を配り、子どもたちが目を向けるものや手に触れるものを一緒に感じ、絶妙なタイミングで声をかけていました。

『子どもが自ら遊びを生み出せるように、興味を引く“タネ”をまいたり、遊びやすい環境を工夫したりしています』と佐々木さん。この自由で心地よい空気感は、同会の遊び場を運営する経験値が作り出しているに違いありません。

“拾った自然”でクラフト作り

『家に二人きりだとつい何かと叱ってしまって』と苦笑するのは、3歳の男の子と来たお母さん。『野外にいると、なぜだか私も大らかになれるし、子どももノビノビして見える』。4歳の女の子を連れたお母さんは『屋内だと決まった遊び方になりがちだけど、自然は毎日違う。子どもが自分で面白いことを見つけるから親も楽です(笑)』。二人とも西公園プレーパークにはよく遊びに行くそう。『大きな遊具がなくても子どもは楽しめる、ってプレーパークで知りました』と話してくれました。

 

見えない準備こそ大切に

 

一見、手を入れない自然の中で自由に遊んでいるように見えますが、同会はこの開催に向けて事前の下見や打ち合わせを入念に行いました。

河川敷の地面に大きな穴はないか、草丈が高すぎて子どもを見失わないか、どの草を事前に刈り、どの草を遊べるように残すか。水辺はどこからどこまで歩けるか、水深はどうか。『いつも活動している西公園なら子どもの動きがほぼ予測できますが、初めての場所は予想外のことが起きかねないので』。スタッフの佐藤美嶺さんは、目に見えない準備こそ重要だと強調します。

「オナモミ、燃えるかなぁ」火を扱う体験は貴重

焚き火のそばで、ずっと地面を掘っている男の子がやけどをしないか、さりげなく気を配っていたのはスタッフの寺牛替子さん。『硬い石だらけの地面を掘り続けるなんて、大人は絶対にしない』と笑いながら『子どもはやっぱり遊びの天才だね!』。安心して思いっきり遊べる場を支えるのは、きめ細かな気配りとスタッフの温かなまなざしでした。

 

西公園と広瀬川、よくばって楽しめる魅力エリア

 

『広瀬川は豊かな自然を身近に感じさせてくれる存在。生き物も多様で、四季折々に楽しい』と佐々木さん。しかし一方で川は、命にかかわる危険性もあります。だからこそ普段から「何が危険でどうすれば身を守れるのか」、遊びを通して体験できるといい、と話します。『西公園と広瀬川が隣り合うこのエリアは、“遊び”の観点から見てもとても魅力的。大人も子どもも気軽に楽しめるようになるといいですね』。

予定の14時をとうに過ぎ、風も冷たくなってきてそろそろお片付け。でも子どもたちはまだまだ遊びたいみたい。小さな体の体力に限界がきて今にも寝そうになりながら、『まだ帰らない!』と言い張る“意地”がほほえましい。また遊ぼうね。

(左から)西公園プレーパークの会の寺牛さん、佐々木プレーリーダー、佐藤さん

 

西公園プレーパークの様子や開催日程はSNSでチェック!

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以上、ヒロセガワプレーパークの報告でした。(文・写真:aya tsuruoka)

今回の取組みは、広瀬川の新しい活動人材の紹介として、またせんだいセントラルパーク第3章の「Healthy Parks Healthy People」を体現する意図を込めて企画しました。

人と自然の良い関係に気付く人の育て方を議論し、パブリックプレイスの実現に向かって進んでいきます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 


 

***ヒロセガワプレーパーク『トーク』レポートもご覧ください***
https://sendai-cp.net/archives/6002