回答:杉山 丞さん

  • 活動:東北大学のキャンパス計画に携わる
  • 場所:東北大学キャンパス計画室にて
団体/大学/部署のSCPエリアでの活動や構想内容について教えて下さい。
杉山 丞

川内キャンパスは24時間出入り自由ですので、犬の散歩、ジョギング、お花見などに最適です。特に川内記念講堂前の広場はイベントでも利用されていて、以前、仙台風倶楽部がお茶会を開催したこともありました。

また、図書館や植物園なども一般開放されていますし、生協の食堂は少し前から土日も営業するようになりましたので、SCPに来た方が食事をする場の選択肢の一つとして利用してもらえばと思います。学園祭にも沢山の方に来て頂きたいですね。

今後その活動や構想をどのように展開できると望ましいとお考えですか?
杉山 丞

大学創設100周年記念事業として、川内北キャンパスにベネチアのサンマルコ広場と同じスケールのプラザを整備することを検討しています。周辺に飲食店などを配してにぎわいのある都市広場にしたいと考えています。また、扇坂の脇を流れる千貫沢を市民や学生が憩える水辺空間として整備することも検討しています。

また、くたびれた生協食堂を大幅にリニューアルすることで、入りやすく、居心地の良い雰囲気づくりを心がけたいと思っています。

SCPエリアの魅力はどういうところだと思われますか?
杉山 丞

一つは、広瀬川を核としていることで、雄大なスケールで都市空間を想像できるところですね。水や魚の流れだけでなく、夏には涼しい海風を街に導いてくれる、ダイナミックに山と海と都市をつなぐ場所だからです。もう一つは、河岸段丘が形成された太古の歴史や、仙台城跡から陸軍、進駐軍、文教地域へと変遷した歴史へと思いを馳せることができるのも大きな魅力だと思います。

貴重だと思われる場所や景観がありましたら教えて下さい。

仲ノ瀬橋下流右岸にあるシェルベットという化石が採取できる場所。

私の通勤ルートでは、澱橋から見る県立美術館の裏の崖面/県立美術館の沿道沿いの石垣に張り付いてるツタ/けやきとみやぎのはぎの道/川内北キャンパスのグランド沿いにあるメタセコイヤ。

霊屋橋下流の河原もいいところですね。

都市デザインワークスのせんだいセントラルパークの提案をどう思いますか?
杉山 丞

落差のある空間を都市生活の場として位置づけるのは大変ですが、例えば、土日に一人でも、リフレッシュのために広瀬川へ行きたいと思える魅力的な都市空間として頂きたい。

瑞鳳殿から仙台城跡へ向かうルートなどは、川に沿って大回りをする非日常的な自然満喫コースだけでなく、住宅地の中をショートカットできる近道コースも必要でしょう。ショートカット部を幅広の緑道とすることで、住宅地を小さな塊に文節することができますし、住宅地から広瀬川への繋がりも強くなると思います。また、海から上ってくる来る涼風の通り道としても計画することをお薦めします。

都心部とSCPエリアの接点として定禅寺通から青葉通までを計画対象としているようですが、もっと広く、中島丁から片平丁までを捉えてはどうでしょうか。

支倉町あたりには広瀬川を臨めるポイントがないので、例えば川沿いに崖から歩道を突き出すような形ででも新設して、歩道に面したレストランや喫茶店などが誘引されたりすると面白いエリアになるのではないでしょうか。

SCP内のデザインも当然大切ですが、それとともに都市との接点が重要です。SCP周辺に高密度な都市型集合住宅の集積を図り、ニューヨークのセントラルパーク周辺のように、多くの市民が集まって住みたくなる都心居住推進エリアに育てていく、そんな構想はいかがでしょうか。

SCPエリアの中でもっとこうなったら良いと思うところはありますか?
杉山 丞

定禅寺通と広瀬川との繋がりが薄いので、定禅寺通りの延長で橋を設置するという構想は望ましいと思います。ただ、定禅寺通から橋を渡って、川沿いの散策ルートへと曲がってしまう繋がりだけでなく、そのまま真っ直ぐに県立美術館へと至る直進ルートも欲しいですね。その際は、先ほどお話した風の通り道を考慮した緑道や、周辺に住む人達も使えるポケットパークなどを付設させたりするなどの配慮もお願いします。

仲ノ瀬橋周辺に、気軽に対岸へ渡れる歩行者専用の橋が、川に近い低いレベルで欲しい。あるいは、浮き桟橋と太鼓橋を組み合わせたり、沈下橋、流れ橋や吊り橋など色々な渡し方も考えられるのではないでしょうか。

あったら良いなと思われる、機能や施設、設備などについて教えて下さい。

ボストンでは、水陸両用の観光バスが大変な人気でした。ループルバスが広瀬川を渡ったり下ったりするのもいけるかもしれないですね?

以前川底を歩いて渡るワークショップに参加したことがありましたが、とても楽しい経験でした。あるいは、川の水を引き入れた水遊び場、じゃぶじゃぶ池や自然観察用のビオトープなどは欲しいですね。また、大分県山国町の「コアやまくに」では、冬スケートリンクになるじゃぶじゃぶ池が、一年を通して住民の評判が良いそうです。そのような、水にちなんで楽しめる施設が良いのではないでしょうか?

※役職等はヒアリングを行なった2005年時点でのものです。