宮城県美術館[建築家・前川國男]

宮城県が10の県有施設を再編しようと方針を出しました。その中には、宮城県美術館を国立医療センター跡地(宮城野区)に移転して、同じく移転の宮城県民会館と集約・複合化した開発をする案です。

せんだいセントラルパークにとってなくてはならない美術館。
「知る楽しみ」の場として大切な存在で、セントラルパーク全体をフィールドミュージアムとして捉えた時にも、重要なプログラムを提供してくれています。

フィールドミュージアム

ここでは設計者である建築家・前川国男氏が宮城県美術館に関して残した言葉を、建設に携わった建設会社の10周年記念刊行誌として発刊された一冊より転載します。

『宮城県美術館 建設をかえりみて』(佐藤康雄 編/1982年)

■宮城県美術館を設計して…/前川国男
 西洋の(主要な)美術館は19世紀に出来上がったが、美術品を持っていた王様や豪族が民主化のなかで私物化できなくなり、民衆に館(やかた)とともに開放したのが現在に至っているようだ。その意味では、もともと美術館建築というものはなかった。日本の場合は外国との交流が進むなかで美術館を初めて知り、西洋的な建物をまねて造り出した。最初のころは木造だったが、火事の心配もあってだんだん恒久的な建物を造るようになった。しかし、建物も特別なもの、展示されるものもかって大名や華族が持っていた“宝物”ということがあって、一般大衆からすると、どうしても美術館が日常生活とかけ離れた特殊な存在という考え方がある。そうした感覚がいまだに残り、外国と日本の美術館では性格や大衆性で大きな開きがある。残念なことだと思う。美術や芸術は本来、人間の日常茶飯事から発展してきたもので、その美しい物、優れた物を集めている美術館は人生そのものにも直結している大事なものだと考えている。
 デザインには四角とか定型とかには限らない。ただ美術館というのは、基本的に美術を正しく見せるためのバッググラウンド、つまりわき役でしかないと思っており、アクロバチックな構造は好ましくない。それに、私は美術館を建てる場合、打ち込みタイル手法を使っているんだが、素材のレンガ構造の基本は四角だ。もちろんレンガ造りでも円い建物はあるが、円というのはどうしても勢いがないような気がする。さらに、美術館にはどんな作品が展示されるかわからないし、企画展などの場合でも演出しやすい、使いやすい四角い構造の方がいいと考える。

ー宮城県美術館は“開かれた美術館”を構想の柱にしていますが、設計に当たっての配慮について(お聞かせください)…。

設計というのは、四角にしようか円にしようかといった二者択一、そして設計変更の集積と言える。一方に時間の制約があるため、何回二者択一の作業と変更ができるかによってもかなり違ってくる。その意味では、宮城県美術館の設計も与えられた時間内における私どもの最大限の努力の集積と思っている。敷地が傾斜地なのに加え、地下を自動車道が走っていることも思わぬ伏兵となり、苦労させられた。

ー省エネ時代を迎えて建築業界も対応が迫られているのでは(ないでしょうか)…。

今さら省エネなんて騒ぐのはおかしい。30年も前から省資源、省エネルギーが指摘されていたはずだ。日本の建築にしても近代化が進み、巨大建築物がどんどん建っているが、巨大建築が本当に必要かどうかをもう一度反省してみるべきだと思う。近代化とはなんであるかを考えてみると、近代的な合理性を指してそう呼んでいるような気がする。そうすると、ヨーロッパの17,8世紀の近代合理主義思想をそのままはめ込んでいるだけでしかない。近代建築には永遠性がなくなったと言える。ギリシャ建築と比較すればよくわかる。ギリシャ建築と言ってもいい。彫刻された石のかけらが落ちてもその一つのかけらがかけらとしての価値を十分に持っている。ところが、近代建築のコンクリートの一角がはげ落ちてご覧なさい。建物の美観、機能が完全に落ちるだけではなく、コンクリートのかけらにもなんらの価値がない。だから、近代建築には美がなくなったのではないかとさえ時々考えることがある。最近のわけのわからない音楽だってそうだ。あれは音楽芸術の分解だ。医学にしても近代医学がどんどん進み、分解した形で専門化を強めているが、総合性が欠けている。建築もこのまま近代的な合理性だけを追求したんではいけないと思っている。かと言って合理主義を捨てて何を求めるかとなるとわからない。建築設計界の悩みでもあるわけだ。

前川 国男
1905年東京生まれ/1928年東京大学卒業/ル・コルビュジェ建築事務所、東京レーモンド建築事務所を経て1935年前川国男建築設計事務所

青葉の風テラスの新しい運営等事業者が決まりました!

青葉の風テラスは、ピクニックパレードやプレジャーマーケット、フィールドミュージアムなどが行われてきた場所で、芝生デッキからは広瀬川・仙台城跡が望めるせんだいセントラルパークの重要な起点です。

地下鉄東西線の利用促進とともに国際センター駅周辺のさらなる賑わい創出につなげるために、平成31年4月以降に青葉の風テラスの貸付を受けて運営等を行う事業者の公募がありました。

株式会社モーツァルト・株式会社都市設計・特定非営利活動法人都市デザインワークスの三社が審査を経て優先交渉権者となりました。 仙台市HP

【コンセプト】
「市民の日常を豊かに!」を掲げ、みんなで共有するリビングをコンセプトに運営

【事業展開】
・カフェモーツァルトによる飲食事業
・ライブやトークイベント、パーティー、ギャラリー等の利用を想定した施設の有料貸出事業
・「コラボカフェ」: 施設 1 階のスペースを活用し、企業や店舗と連携した体験プログラムを伴う期間限定カフェやマルシェの展開
・「ラボ&トライ」: 旬なテーマや様々なコトを学び、実験するラボの展開。市民ワークショップ等で考えた企画のトライアル展開を通じたコミュニティづくり
・東西線沿線の資源や企業、青葉山周辺施設や大学との連携企画 など

新たなコンベンション施設ができます!

平成27年3月に国連防災会議が仙台市で開催される事になりました。

しかし今の仙台の街中にはそれを受け入れる施設がありません。

そこで地下鉄東西線の沿線で既にコンベンション機能をもつ、
(仮称)国際センター駅周辺に新しいコンベンション施設ができることになりました。
※トップページのせんだいセントラルパークイベント情報マップに場所を示しました。

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